青汁の本当の実力

日本人は野菜が足りていないといわれ、実際に「健康日本21(第2次)」では野菜を1日350g食べる事を目標としていますが、男女の平均でおよそ280gと目標値に届いていません。

なぜ野菜を食べなければいけないのか

野菜を食べなければいけない理由は簡単に言えば・・・

「肉や魚だけだと食物繊維、ビタミン類、カルシウムが不足するから」です。

毎日350gの野菜を食べるのは大変

目標値の350gの野菜は非常に量が多く、忙しい毎日でこれを満たすのは大変です。

これを補助する様に青汁などの補助的な食品が多く販売されています。

青汁は、非常に効果がある様な表現がされていますが、本当でしょうか。

今回は青汁の本当の実力について観ていきたいと思います。

青汁とは

そもそも青汁というのは「生の緑黄色野菜をしぼった汁」の事です。

一般的に販売されている青汁は「ケール」等を粉末にされている物が多く、これを水に溶かして飲むタイプが主流だと思います。

ケールの実力

ケールは青汁の材料としての知名度はありますが、実際に生食しても美味しく栄養値も高いのが特徴です。

青汁の材料のケールの実力について、青汁販売サイトで比較されていた野菜と比較してみます。

よく聞く青汁のキャッチコピー】

「ビタミンC」トマトやキュウリの5倍以上!

「食物繊維」キャベツの2倍以上!

「鉄分」トマトの4倍!

ポイント

ケールの有意差を示す為に、意図的に栄養の少ない野菜が比較されている。

確かにケールは栄養豊富な野菜ですが、比較するなら同じような栄養豊富な野菜で比較しなければ、本当の実力はありません。

ケールと比べて、食物繊維やビタミンCならブロッコリー、鉄分なら小松菜、カルシウムならモロヘイヤの方が優秀という事になります。

ケールは優秀な野菜ですが、この様に比べる対象によっては、ケールが特別優れている訳ではないないという事が分かります。

生野菜ケールのデメリット

ケールは栄養豊富な野菜ではありますが、いくつかデメリットもあります。

①入手し辛い

ケールの最大のデメリットはブロッコリーや小松菜などの、他の優秀な野菜と比較して入手し辛さだと思います。

大手スーパーなどでもタイミングによっては販売している事もありますが、見かける事の方が少ないと思います。

②まとまった量を食べ辛い

ケールがどんなに栄養豊富であっても、ある程度の量を食べられなければ、栄養になるとは言えません。

例えばカイワレ大根がいくら栄養豊富であったとしても、1回に食べられる量は10g程度であると思います。

ケールも同様にサラダとして美味しく楽しむ分には良いと思いますが、まとめて食べるには向かないと思います。

青汁の実力

青汁の原料であるケールの実力についてお伝えしましたが、本題の青汁はどうでしょうか。

ケールを乾燥、粉末にする事で、量が圧縮されており、少量で高栄養になっています。

青汁の粉末は1回あたり2~3g程度が多く、1日に飲める最大量は10g程度であると思います。

生のケールと青汁の粉末の栄養の比較は次の通りです。

1日3回飲むとして、最大量の青汁は生のケール50gと同程度の栄養量であると思います。

青汁だけで1日分の野菜になるか

最大量の青汁が1日に必要な栄養をどの程度満たされるか、栄養の推奨量や目標量と比較します。

βカロテンの推奨量

◎βカロテンは1日分の青汁だけで推奨量を満たしています。

青汁粉末10g男性18歳以上女性18歳以上
1000㎍600~650㎍450~500㎍

βカロテンはケールだけでなく、ブロッコリーや小松菜、人参やカボチャ等にも多く含まれています。

【ビタミンCの推奨量】

◎ビタミンCは1日分の青汁だけで推奨量を満たしています。

青汁粉末10g男性
18歳以上
女性
18歳以上
110㎎100mg100mg

ビタミンCは果物に多く含まれている印象があるかもしれませんが、野菜にも多く含まれています。

ビタミンCを多く含む野菜では「ブロッコリー」がおススメです。

カルシウムの推奨量】

×カルシウムは一日分の青汁だけではかなり不足します。

青汁粉末10g男性18歳以上女性18歳以上
120mg750mg652mg

青汁だけではカルシウムが、かなり不足します。

カルシウムを野菜から摂ろうと考えると、小松菜がおススメですが、一日のどこかで牛乳、ヨーグルト、チーズ等の乳製品を食べる事が必要であると考えられます。

【鉄の推奨量

×鉄は一日分の青汁だけではかなり不足します。

青汁粉末10g男性18歳以上女性18歳以上
0.29mg7.3mg10.6mg
月経ない場合7.3mg

青汁で鉄分は期待出来ません。

野菜では圧倒的に小松菜がおススメです。

他に鉄分の多い食材は「豚レバー」「しじみ」「豆乳」がおススメです。

食物繊維の目標量】

×食物繊維は一日分の青汁だけではかなり不足します。

青汁粉末10g男性18歳以上女性18歳以上
2.8g20~21g17~18g

青汁は食物繊維を期待できません。

生のケールと比べ、粉末の青汁になる事により、大幅に食物繊維の量が減っている事がわかりますが、これは製造過程あるいは、飲みやすくする為に取り除かれた結果でしょうか。

考察

野菜に期待される栄養は食物繊維、ビタミン類、カルシウム等のミネラルが考えられます。

青汁の栄養を観ると、1日分のβカロテン、ビタミンCは補給できるものの、他の栄養が非常に少ないものが多く見られます。

その為、青汁を飲んでいるから野菜が足りているという事にはなりません。

野菜を食べるメリット

忙しい中で、野菜を食べるのは面倒の様に思えますが、多くのメリットがあります。

①栄養豊富

ブロッコリーや小松菜などの高栄養の野菜は簡単に量を食べる事が出来、しっかり栄養を摂る事ができます。

50~100gくらいの野菜は軽く食べられるのではないでしょうか。

②食事のかさが増える

野菜は低カロリーな物が多い為、食事の際、サラダやお浸し、肉、魚料理のお供にする事によって、食事の量が増えます。

これにより、低カロリーで食事を満足する事が出来ます。

1日10g程度の最大量の青汁を使用しようと思うと、300円~400円程度のコストが掛かるのではないでしょうか。

③経済的

旬の野菜を買った方が経済的で明らかに高栄養です。

結論

青汁は野菜の代わりにはならない。

青汁はあくまでも、かなり補助的なものであると思います。

費用面、栄養面から観ても日々野菜を食べる習慣を設ける事が必要だと思います。

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